当団について

Orchestra Est (愛称“Eオケ”)は、2016年に東京大学音楽部管弦楽団(東大オケ)の 3, 4 年生によって結成されたオーケストラです。現在は東京大学音楽部管弦楽団の OB/OG を中心として、「多くの方にクラシック音楽の魅力をお伝えしたい」との理念のもと、様々な演奏活動に意欲的に取り組んでいます。

多彩な演奏曲目

これまでに Orchestra Est が演奏会で取り扱った曲目は、三重奏から百人規模の管弦楽曲まで、またバロック時代の作品から20世紀の音楽まで、実に多岐にわたっています。

2019年の第3.5回から2022年の第5.5回まで行った「.5回」シリーズでは、通常の管弦楽のコンサートでは演奏されない小規模な室内楽作品を積極的に取り上げました。これらの演奏会では、木管楽器・金管楽器・弦楽器の各セクションの楽器のみの作品の演奏を通じて、各楽器の魅力をお伝えするとともに、団員のアンサンブル技術の向上を図りました。

「.5回」シリーズの集大成である第5.5回演奏会の《水上の音楽》第2組曲では、バロックトランペットのみならず、鍵盤楽器による通奏低音も編成に加わりました。通奏低音のリアライズ・演奏も団員によって行い、古楽を専門としないアマチュア・オーケストラとしては有数の水準といえるオーセンティックな演奏を追求しました。このような、幅広い団員の音楽的知識と興味に裏付けられた演奏曲目の多彩さも、当団の魅力の一つです。

第3.5回演奏会のステージの様子。13人の管楽器奏者が指揮者を中心として半円形に並び、《13管楽器のためのセレナード》を演奏している。
第3.5回演奏会
《13管楽器のためのセレナード》

ユニークな練習

当団では、奏者のみで練習を進行する「自主全奏」を積極的に行っています。

当団の練習の特色の一つが、弦セクションと管打楽器セクションが物理的に向き合う「対向配置」。本番舞台では絶対に実現することのないこの配置ですが、スコアだけでは読み取ることのできない他パートの目線や息遣いについて、視覚的に共有することができます。

プロジェクターを用いた練習を行うこともあります。前面にスコアを投影し、各トップ奏者の書き込みを共有しながら練習することで、パート同士の連携やフレーズの捉え方を効率的に点検します。

セクション・パート単位でも、特定のセクションの奏者のみで行う「自主分奏」やパート練習を行っています。曲によってはセクションの枠を超えてトランペット・ティンパニの合同パート練習を行うこともあります。

このように、インスペクター・パートリーダーを中心に、日々効果的な練習方法を模索し、ユニークな練習を通じて本番の成功に向けた活発なコミュニケーションを行っています。

対向配置による自主全奏の様子。練習場で、管打楽器群と弦楽器群が1メートルほどの間隔を空けて互いに向き合いながら演奏している。
対向配置による自主全奏

スコアを投影しながらの練習の様子。コンサートマスターが奏者側を向きながら話している。コンサートマスターの隣のスクリーンには、プロジェクターでスコアを拡大した画像が投影されている。スコアには、「1回目・2回目で表情変えたい」と書き込みがされており、文章の下には2つの顔文字が左右に並んでいる。左の顔文字は口を閉じた顔、右は口を開いた顔をしている。
スコアを投影しながらの練習

調査研究活動

演奏会におけるお客様の鑑賞体験をより良いものとするため、膨大な文献調査と厳しいピア・レビューを経て執筆された曲目解説は、質・量ともに従来の曲目解説とは一線を画し、内外から毎回高い評価を受けています。 また、オーケストラの曲目解説としての枠にとらわれず、室内楽曲の解説や、楽器に関する解説、楽譜なども作成しています。

執筆・作成した各種資料の一部は、高度な情報提供による日本のクラシック音楽界への貢献を目的として、Orchestra Est 曲目解説リポジトリに収載し、 Web 上で一般公開を行っています。

メンデルスゾーン青年期の「大旅行」の足跡を表した地図。西ヨーロッパを中心に、ベルリンからナポリを経て英国へ至り、英国内ではロンドンからスコットランド一周へ至る道筋が地図上に線で示されている。
メンデルスゾーン青年期の「大旅行」の足跡(当団メンバーの調査による)